花嫁が逃げ出した!
マリッジブルーを抱えた彼女が辿り着いたのは、実家が経営していた廃工場。
「家庭を築く自身が無い」そんな彼女を追って現れた母・波花菊は
自らの昔話を語り聞かせる。かつてこの工場が打ち上げ花火を作っていた、
愛と喧嘩に溢れた物語を。

それは今から 40 年前。大勢の花火職人達がひしめく中̶
凛として立つ「なみはな工芸」の一人娘、菊。当時 20 歳。
男勝りの菊は彼らを従え家業を継ごうとするも、頑固な父は一切認めない。
さらに幼なじみの職人・航平からの
プロポーズで大きな人生の岐路に立たされていた。
そこへ現れた、孤高の天才花火職人・タケル。
誰よりも高く大きな花火をあげるその姿に、菊はひかれ始める。
しかし、タケルにその気はなく……

恋か、夢か。現実か、憧れか。揺れる菊の下へ、一つの知らせが届く。
それは花火の腕前を競い合う競技大会の知らせだった。
航平は競技大会の勝敗に、菊との結婚を賭ける! と息巻くのだが……

幾重もの三角関係と流れる時間。その中で貫いた一つの愛。
アツく切なく生き抜いた、アナタと私の 10 年花火。